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なんかもうフリーダム。
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「…よう食えるなあ、さんざんメシ食うたのに」
抱えた紙袋から三つ目のドーナツを取出して頬張り始めたヴァッシュを横目で見やり、ウルフウッドはため息をついた。
「甘いものは別腹って言うでしょ、君もどう?」
「女子か。いらんわ」
顔をしかめて片手を振る。
もっとも始めからカタチばかりのやりとりなので、こちらの蔑むような視線も相手は別段気にしていないようだった。
「こんな時間にそんなもん。あれやで、太るで?」
女子か、という台詞を引っ張って、ニヤリと笑ってみせてやる。
ヴァッシュは一瞬手を止めたが、そっぽを向いて口のなかのものを飲み下した。
「いいんだもん」
「もん、って。ガキか。気色悪い」
あーあー口のまわり砂糖まみれやんか。
ほんまにガキやな。
なんとなく習性でそれを拭ってやろうと傍らにあった紙ナプキンに手をのばすと、ソレに気付いたヴァッシュがにへ、と笑った。
「わあい、ありがとうお母さん」
バカにしとんのか。
そのまま手にした紙をまるめると、顔面目がけて投げ付けてやった。
ヴァッシュはけらけら笑っている。
「いいんだよ、これからちゃんと運動するし」
「ほー、そら夜中にご苦労なこっちゃな。下の階の迷惑にならんようにするんやぞ」
それこそお母さんのような一言を残してウルフウッドが腰をあげると、その袖をつまんで引き止め、ヴァッシュが上目遣いで小首を傾げた。
「あれ?分かりにくかった?」
「ハァ?何やねん」
「今の、夜のお誘いだったんだけど」
「………」
期待に満ちた目で見つめられても困る。
こんなオヤジじみた誘い文句でどうしてドヤ顔が出来るのか。
「顔中ベタベタにしてよう言うわ…」
ため息で返答してやったが、ヴァッシュはめげないどころか嬉しそうに言い放った。
「うん、だから、今キスしたらきっと甘いよ」
「…ッ」
ああもう、コイツは。
女子でもガキでもなんでもあらへん、ただのすけべなオッサンや!
頭を抱えてうずくまるウルフウッドをよそに、空になった紙袋をまるめて屑籠に放り込んで、ヴァッシュは立ち上がった。
「先、シャワー使う?」
「なんでOKしたことになっとんねん」
「えーいいじゃん、イチャイチャしよ~よ~」
おお、ジーザス!
ガラでもないのは百も承知で、たった一言言わせてください。
…どうか我らにロマンチックを。
「いや、どうでもええか、アホらし」
「え?何が?」
「やかましいわッ!」

END
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